有限会社とは。
有限会社とは、日本において過去に設立が認められていた会社形態の1つです。
株式の公開や社債発行により市場から広く資本を調達することを想定されている株式会社に比べ、有限会社は小規模の企業を想定して作られた制度になります。
ですが、現在は2006年の会社法施行によって、新たに有限会社を設立することはできなくなりました。(現在でも有限会社という称号が付いている会社は、2006年の会社法施行前に設立された会社ということになります。)
なお、有限会社は、現行法の「合同会社」に近い位置づけの法人形態となりますが、合同会社は株式の発行が出来ず取締役の設置がないのに対して、有限会社は、(公開は出来ないが)株式の発行が出来、取締役1名以上が必要な点等が相違点としてございます。
本コラムでは、有限会社を休眠させる場合に特有の事項について記載していきます。
有限会社を休眠会社として維持するメリット
有限会社を休眠させる場合の、株式会社にはない固有のメリットは以下の2つになります。
有限会社には「みなし解散」の規定がない
株式会社の場合、最後の登記から12年が経過すると、強制的に解散登記を行われる「みなし解散」という規定が存在します。
ところが、有限会社の役員には、そもそも任期の規定がありません。
つまり、役員の任期満了に伴う変更登記は必要ないため、「みなし解散」の規定が適用される心配がありません。
株式会社を休眠させたからと言って、「永遠に放置」することは出来ず、役員の任期に注意を払わなければならないのに対し、有限会社の場合は、気兼ねなく放置できます。
その点、株式会社より、休眠を選択しやすい制度であると言えます。
休眠中の有限会社は、高く売却できる可能性がある。
かつては、株式会社は最低資本金1000万円が必要で、その資金が用意できないようなケースに、有限会社の設立が選択されていたことも多かったようです。
「有限会社は社会的信用度が低い」というイメージがありましたが、現在は、前述の通り、新たに有限会社を設立することが出来なくなっていますので、有限会社の呼称は2006年以前に設立された法人である証とも言えます。
社歴の獲得やそれに伴う信用の獲得を目的とする相手先に売却することができる場合も考えられます。
前日の通り、事業再開の予定が立たない場合でも、みなし解散の心配がないため、廃業せずに休眠会社とすることを検討してみてはいかがでしょうか。
有限会社の休眠中の注意点
有限会社は現在、「特例有限会社」として存続しており、その税法上の扱いは株式会社と同じになります。
したがって、有限会社が休眠したとしても、青色申告を維持するためには、決算期において税務申告をする必要があります。
また、株式会社と違い、決算の公告義務がないというメリットがあります。
まとめ
有限会社を休眠する場合のメリットについてご理解いただけましたでしょうか。
有限会社の休眠をお考えで、そこにメリットがあるかないかご不明な方は、有限会社の休眠に詳しい税理士にお問い合わせください。