会社を買収したり、売却したりすることができるのをご存じの方も多いと思います。
成長が見込める会社を買ってきたり、その逆で事業を育てて会社を売ってお金を得る方もいらっしゃいます。
本記事ではこのような行為をM&Aと呼んでいきます。
では事業活動を停止している休眠会社のM&Aのメリット・デメリットはどこにあるのかを解説していきます。
M&Aとは?
会社を合併・買収することを指します。
合併は2つ以上の会社が1つになること、買収はある会社が他の会社を買ってくることを指します。
通常のM&Aでは、買い手側は事業規模の急速な拡大や新規事業への参入に関してメリットがありますし、売り手側の企業では雇用の維持や、事業存続に関してメリットがあります。
またデメリットもあり、買い手側は事前に知り得なかったリスクを背負う可能性があり、また企業文化の違いから、従業員が離反する恐れもあります。
売り手側は経営権を一部手放すことになりますし、従業員のモチベーションが低下する可能性もあります。
メリット・デメリット共にありますが、大きな金額が動くケースが多いため、慎重に事前のデューデリデンスが必要です。
休眠会社のM&Aのメリット・デメリット
では休眠会社のM&Aにメリット・デメリットはあるのでしょうか?
こちらの記事(https://cliser.co.jp/rest/closing-dissolution/1041/)にもあるように、休眠会社は事業活動を停止していますから、通常のM&Aのようなメリット・デメリットは生じません。
買い手側に立って考えると次のようなメリットがあります。
- 長い社歴が手に入る可能性がある・・・社歴の長い休眠会社を買収して、その休眠会社を復活させて事業を行えば、信用力の向上につながるかもしれません。
- 繰越欠損金を使える・・・繰越欠損金のある休眠会社を買収して、事業再開後の黒字と相殺し節税ができる可能性があります。
- 許認可の取得につながる・・・事業活動期間が必要な許認可や、資金が必要な許認可を休眠会社を買収することによって得られます。
ただしやはり次のようなデメリットもあります。
- 過去の法人税の申告が必要になるケースがある・・・申告を行っていないケースでは繰越欠損金の引継ぎができませんから、遡ってすべての年の申告をする必要が出てきます。
- 繰越欠損金の引継ぎに制限が多い・・・繰越欠損金を買収側の法人で使用する際には細かい条件があります。
売り手側から見た休眠会社のM&Aを進めるための注意点
上述のように法人税の申告を行っていないと、買い手側で繰越欠損金の引継ぎができない可能性があります。
売却をする際に、繰越欠損金の金額が売却価格を左右することになりますから、引継ぎができないことにより大きく価格を落としかねません。
そもそもずっと申告を行っていない会社では、買収の対象としてみてもらえない可能性もありますから、ご注意下さい。
まとめ
今後会社の休眠をお考えの方・現在休眠会社をお持ちの方は、将来的に休眠会社を売却できる可能性があることを解説いたしました。
買い手側にメリットが出なければ、売却は成立しませんが、そのメリットを発生させるために毎年の法人税の申告は欠かせません。
税理士が毎年申告をしていることにより、買い手側に信用を与えることもできますから、私たちにお気軽にご相談をいただければと思います。