事情があって設立した法人を休眠させていたが、事業を復活させるために「休眠会社を復活」させる場合があります。
休眠会社を復活させるメリット・デメリット及び再び法人を設立する場合との違いを解説していきます。
休眠復活のメリット
事業を復活するめどが立った場合、休眠していた会社を再度、復活させることができます。
休眠復活のメリットは以下の通りになります。
費用や手間がかからない。
1から法人を立ち上げると法人の設立費用がかかり、設立後の銀行口座開設や各種行政機関への届出が必要になます。
そのため時間と費用がかかってしまいます。
それに対し、休眠から復活する場合は、後述の通り、基本的には届出書1枚で会社を復活させることができ、簡素でかつ費用も節約でいます。
ただし、休眠期間中に税務申告をしない無申告の期間があった場合には、遡って申告書を提出する必要があります。
繰越欠損金が利用できる
事業が上手くいかず休眠にした会社であれば、会社には赤字がたまっている可能性があります。(繰越欠損金)
この繰越欠損金は10年間持ち越すことが出来るため、復活後の黒字と相殺できます。
繰越欠損金を黒字と相殺すると、その分利益に対する法人税等が減少するため、税制の観点からも有利になります。
ただし、この繰越欠損金の利用は、休眠後も申告書を毎年提出していることが条件となります。
休眠後に税務申告を行っていない場合は繰越欠損金が消えてなくなってしまいます。
信用や歴史・許認可を引き継ぐことが出来る
休眠会社を復活させる場合、社名や銀行口座は変わらないため、それまでの取引先と積み上げてきた信用・歴史をそのまま受け継ぐことができます。
また、休眠していた事実は法人の登記簿(全部事項証明書)には載ることはありません。
対外的には設立時から続いている会社という見え方になるため、休眠復活後に獲得する取引先からも、新規会社の設立よりも(歴史の長さという観点からは)信用が得やすくなります。
また許認可等の会社が事業を行うにあたり提出すべき書類も、引き継ぐことが出来ます。
許認可の際に付与される「番号」などもそのまま古い番号を使うことができます。
費用や手間の問題以上に、新規会社を設立して再度申請するより、休眠を復活させる方が価値があると考えられます。
役員借入金が活用できる
休眠前に赤字を補填するために役員が法人に運転資金を貸し付けているケースがあります。
その場合、会社には「役員借入金」という負債が計上されています。
休眠復活後、法人に利益が出て場合には、この役員借入金の返済を受けることで、無税で資金を回収することができます。
休眠会社復活のデメリット
反対にデメリットは以下の通りとなります。
みなし解散に注意が必要
最後の登記から一定の期間(株式会社は12年、一般社団法人、一般財団法人は5年)を経過した法人は、法務局の方で実態のない法人とみなされて、強制的に解散をさせられてしまうことがあります。
これをみなし解散と言います。みなし解散後3年を経過してしまうと、法人格がなくなってしまうため、休眠復活は出来なくなります。
「負の信用」も引き継ぐ可能性がある
休眠前に、信用の低下(係争や信用情報に抵触する行為)などが在った場合は、そういった「負の信用」も引き継ぐことになります。
また、免許関係の届け出も取り消されている可能性があります。
申告の状況によっては、新規設立よりも費用が掛かる場合がある。
税務当局に休眠の届出を行わずに、ただ放置をしてしまっていた場合には、期間中に法人住民税が課税される可能性があります。
まとめ
休眠会社の復活のメリット・デメリットについてご理解いただけましたでしょうか。
休眠会社の復活をお考えで、そこにメリットがあるかないかご不明な方は、休眠復活に詳しい税理士にお問い合わせください。