会社を解散する場合に残ったお金はどうなるのか?
事業を廃止し、会社を解散する場合に、会社に残った財産(残余財産)がある場合、その財産はどうなるのでしょうか?
よく、「会社は誰のものか?」と言う問いがあります。会社は社長や役員のものではありません。
株式会社は会社に出資している株主のものになります。
そのため、会社を消滅させる前に最終的に残った資産は、株主に帰属することになります。ですから、会社の「残余財産は株主のもの」という答えになります。
残余財産の確定方法
解散清算手続きについては、この「残余財産の確定」が1つの大きな作業になります。
具体的には、会社の債権(売掛金や貸付金・未収の税金など)を回収したり、債務(買掛金や未払税金・銀行借入金など)を弁済します。
また、不動産や車両があったら基本的には売却して換金します。
会社契約の保険があった場合も解約して保険積立金を受け取る必要があります。
そのように会社の財産を整理し、最終的に残った財産(残余財産)の額を確定させます。
具体的な手順は以下の通りとなります。
- 資産・負債を調査し財産目録等を作成
清算人は、会社解散の時点での会社の資産や負債を調査し、『財産目録』及び『貸借対照表』を作成します。
清算人が作成した『財産目録』及び『貸借対照表』は、臨時株主総会にて、普通決議による承認を受けます。 - 債権者意義申述期間
会社の債権者に対し、債権がある旨を申し出る期間を債権者意義申述期間と言います。
最低2か月以上の期間を指定して『官報』に公告を掲載する必要があります。
また、あらかじめ会社が把握している債権者に対しては、個別に通知をしなければなりません。
残余財産を分配する方法
上記の通り財産が確定したら、会社が残余財産を分配するフェーズに入ります。
会社は、いよいよ清算結了へと向かいます。
残余財産を分配するときには、株主平等の原則に従って、各株主の所有する株式数に応じて平等に分配するのことになります。
また、残余財産は換金して金銭で分配するのが原則です。(不動産などを現物分配することも法律上は可能です。)
残余財産分配時の税金
残余財産の分配を受ける際に、当初出資していた金額より大きな金額の財産を受け取った場合には、その増加した部分の金額は配当を受け取ったものと同様に扱われ、課税の対象とされています。
これを、「みなし配当」と呼びます。
(会社が解散・清算すれば必ずみなし配当が発生するわけではありません。当初出資した金額より残余財産として分配された金額の方が少ない場合にはみなし配当は発生しません。)
非上場会社が解散・清算して、個人の株主に対して、みなし配当が発生すると、株主個人が配当所得を得たことになります。
非上場会社は残余財産の分配金を支払う際に、みなし配当となる部分について20.42%(復興特別所得税を含む)の所得税を源泉徴収する必要があります。
また、みなし配当部分について、支払調書を作成する必要もあるため注意が必要です。
非上場会社からみなし配当を受け取った個人は、原則として確定申告の義務があります。
総合課税の配当所得として、給与所得や不動産所得などと合算して所得税の計算を行います。
その際に、「配当控除」の適用を受けるようにしましょう。
この配当を受け取る際にすでに、20.42%の所得税が源泉徴収されていますので、確定申告をすることで還付を受けることができるケースもあります。
解散時の手続きや税務処理がわからない、みなし配当を受けた際の確定申告をしたら良いかわからない、という方はお問い合わせをお待ちしております。