会社を解散して消滅させようとしたときに、支払不能や債務超過に陥っているケースでは、通常の清算手続きに入れない可能性があります。
このような場合に、裁判所に申し立てをして、破産管財人を選定してもらい、会社の財産を金銭に換えて、各債権者に平等に分配する法的な手続きを「破産」と言います。
破産を検討されている方はぜひこの記事をご参考にしてください。
「破産」と「清算」の違い
破産は清算の概念に含まれるものになります。
債権と債務のバランスであったり、破産管財人を立てるのかどうかにより、「通常清算」「特別清算」「破産」に清算は区分されます。
ざっくりしたイメージですが、債務超過に落ちいっていないで、債権者に損害を与えずに無事に会社をたためるケースは「通常清算」、債務超過の疑いがあるが、裁判所による破産管財人を立てるほどでなく、債権者の話し合いなどで会社をたためるケースは「特別清算」、簡単には会社をたためないので、第三者である破産管財人を必要とするケースは「破産」に進むことが多いです。
つまり破産は清算の手続きの中でも、もっとも難易度が高く、時間もかかり、できる限りはとりたくない手段になります。
破産手続きの流れ
破産手続きは、取締役会において破産申し立てを決議し、裁判所に破産手続開始の申し立てを行うことで始まります。
この手続きを弁護士などの代理人に依頼することもできますので、必ずしも代表者が行う必要はありません。
申し立てと同じように大切になるのが、債権者に対する通知です。申し立て後に行うのが良いのか、申し立て前に行う方が良いのかは、各事案によって異なりますので代理人とよく相談する必要があります。
申し立ての前に通知することによる混乱を避けるために、債権者の方には申し訳ないことではありますが、通知を遅らせるケースもあるでしょう。
また従業員に関しては、申し立てが取締役会で決議された後なるべく速やかに、解雇するのが良いです。
事業停止に関する財務手続きなどでどうしても従業員御手が必要な際には、解雇したうえでアルバイトとして協力を仰ぐことを検討してください。
破産手続開始決定後は財産全てが破産財団になる
破産手続開始決定後は、会社の財産全てが破産財団となります。
破産管財人がこれを管理処分して、債権者に対して平等に分配されます。
具体的には金銭に換えられ、それが各債権者に配当されます。
この際に、破産債権よりも優先される「財団債権(破産管財人の報酬や公租公課の一部)」が大きいために、破産債権まで配当が回ってこないケースもあります。
配当がすべて完了し、破産管財人が任務終了の計算報告を行い、裁判所が破産手続締結の決定を行えば破産は完了です。
また費用に関しては、破産管財人に対しての費用(裁判所に払うもの)は20万円程度ですが、代理人となる弁護士には100万円前後の報酬を支払う必要があります。
社長個人破産の検討
会社の債務に関して社長個人が保証をしていたり、銀行借り入れに関して個人保証をしている場合には、個人の破産も検討しましょう。
法人の破産と個人の破産は別個のものになります。
破産・免責(債務の責任が免除されること)がかなえば、法人は失いますが個人として再スタートをすることができます。
最後に
会社をたたんでいく選択肢の一つの破産を今回は解説いたしました。
会社の状況によっては、手続き上大変な破産をしないで済むケースもありますし、逆に破産をしてでも会社をたたんだ方が良いケースもあるでしょう。
どのように対処するのが良いのか、是非専門家にご相談くださいませ。