会社をたたんでいく方法に解散・破産といった手続きがあることをご存じの方も多いでしょう。
清算・休眠といった手続きがあることをご存じの方もいらっしゃると思います。
今回はこれらの手続きの違いに関して解説したいと思います。
「解散」「破算」「清算」「休眠」の違い
解散は破産を含む広い概念で、この破産を含む解散の手続きに続いて行われる手続きが清算になります。
ですから解散や破産と精算はタイミングが違うとイメージいただければわかりやすいかもしれません。
解散や破産がやや込み入った手続きが必要なのに対して、休眠は実際に事業を停止すれば税務署への届出一つで実行に移せる点が異なります。
また清算手続きに進みませんので、法人格が消滅することもありません。
「解散」「破産」とは
最初に大きなくくりである解散に関してですが、法人格の消滅を目指す手続きになりますが、後述の破産と区別して、株主総会の決議によって行われる手続きを指します。
この際に法務局に解散登記を行う必要があります。
破産に関しては、負債超過の会社(資産よりも負債の金額が多い)が法人格の消滅を目指す際の手続きとなります。
裁判所の監督のもとに行われますので、裁判所の許可がなければ行えません。
この点で少し解散よりハードルが高いでしょう。
また前述のとおり負債超過ですから、債権者は自身の債権を満額回収することができず、迷惑をかけてしまうという点でも複雑な手続きとなります。
なお、解散も破産も、その決定の日までを解散事業年度として税務申告の義務があり、また債権者への残余財産確定の日(詳しくは後述)まで清算事業年度もしくは確定事業年度が続くことになりますから、税務申告も忘れないようにしてください。
上記のように解散と破産は似て非なるものですが、ともに法務局や裁判所が絡んできますので、事前に士業に相談することをお勧めいたします。
「清算」とは
清算は残余財産を確定していく手続きを指します。
法人格を解散や破産によって消滅させることが決まった際に、資産の現金化を行ったり、負債の支払いを行っていき、残余財産を確定させます。
例えば会社保有のビルや自動車を売却し、従業員の給料や仕入れ先の買掛金を支払うようなことを行います。
この際に資産が超過している状態であれば解散で、負債が超過している場合は破産の手続きをとることになるわけです。
すべての整理が終わり、残余財産が確定した日を清算決了日と言います。
また勘違いしやすい手続きとして「特別清算」という手続きがありますが、大きな概念としては破産と変わりません。
解散の後の手続きを「通常清算」と表現することがありますが、これは上記の特別清算と区分するためです。
「休眠」とは
休眠は上記3つの手続きとは大きく異なり、法人格の消滅は行われません。
そのため事業活動を停止すれば、税務署への届け出一つで休眠状態に入ることが可能です。また事業を再開する際も簡単です。
ただし毎年の確定申告が必要であったり、法人格が消滅していないために思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
最後に
コロナ禍によって変動はありますが、休眠や解散は年で40,000件から50,000件ほど、破産は10,000件ほどとなっております。
コロナに関わる助成金や融資が、徐々に通常の状態に戻ることや経営者の高齢化を考慮すると、この件数はさらに伸びる可能性があります。
どのような手続きで事業をたたんでいくのが良いか、悩まれる方も多くなることと思いますが、この記事がそのような方々のお役に立ててれば幸いです。
詳しいお話を直接お聞きになりたい場合には、弊社にご相談いただければと思います。