休眠会社とは、長期間事業活動を行っていない法人の事をいいます。
私たち税理士にとってはなじみのある言葉で、具体的なイメージをすぐに持つことができますが、そうでない方たちが大半かと思います。
この記事ではそんな方たちに向けて、休眠会社とはどんな状態の会社のことを指すのか、通常の会社とはどう違うのかを解説していきます。
休眠会社とは
休眠会社は一般的に事業活動を停止している会社のことを指します。
「事業活動を停止する」とは具体的に下記のような状況を指します。
- 商品を販売したり、自社のサービスを提供して、収益活動を行わない
- 商品を仕入れたり、賃金や家賃を支払ったりしない
- 銀行から借り入れをしたり、銀行に現在の借り入れの返済を行わない
少し専門的な言い方をしますと、あらゆる経済活動を行わないようにしなければいけません。
法人格は失われずに存在していますが、実際には何もしていない会社という事になります。
これは会社を空っぽにしなければいけないと勘違いされる方がいらっしゃいますが、会社が財産や債務を保有している状態でも、休眠会社となるかならないかは現況として経済活動をしているかどうかによりますのでご注意ください。
休眠会社になるには
会社を休眠させるには、税務署長・都道府県事務所・市区町村に異動届出書を提出することが必要です。
法人の形態としてよく似ている「解散」に比べるとその手続きは大変簡素なものになります。
ただし、前述のようにすべての経済活動を停止する必要がありますから、売掛金、未収金の回収や買掛金、未払金の支払い・借入金の完済などを進める必要があります。
また従業員がいる場合には、人員の整理も必要になります。
会社の通帳が全く動かなくなるようにすることを意識していただきたいです。
休眠会社になることによるメリット・デメリット
休眠会社になることによってどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
それぞれ解説していきます。
休眠会社になることによるメリット
まずは休眠会社になることによるメリットをご紹介します。
メリットは下記の4点です。
- ランニングコストを下げられる
- 法人住民税を支払わないで済む可能性がある
- 事業の再開が行いやすい
- 会社を売却できる可能性がある
1点目のランニングコストに関しては、税金や社会保険、労働保険などの手続きが、休眠することにより簡素化されますので、それぞれの専門家に支払う報酬が下がるためです。
また、2点目にある法人住民税(基本的に年額70,000円)が免除される可能性も高く、この点でもコストの削減が図れます。
3点目については、法人格が失われる解散や破産とは異なりますので、事業の再開がスムーズに行えます。
毎年法人税の申告を行えば、繰り越しの赤字を引き継ぐことも可能ですから、事業再開時には大きなメリットが得られます。
4点目に関しては、繰り越しの赤字や社歴のある会社を必要としている別会社に、売却できる可能性があります。
繰り越し赤字は節税効果がありますし、社歴は信用力につながるためです。
休眠会社になることによるデメリット
次に休眠会社になることによるデメリットをご紹介します。
デメリットは下記の2点です
- 法人税の申告義務がある
- 一定の期間ごとに登記の必要がある
1点目の法人税の申告義務に関しては、メリットの裏返しになりますが、青色欠損金を引き継ぐ要件でもある期限内申告を行う必要が毎年あります。た
だし、実際は事業が停止していますから、税理士への報酬は安く抑えることが可能です。
2点目の登記については、役員の任期に応じて変更登記が必要です。これは変更していない場合でも必要になり、怠った場合には解散を法務局から命じられる可能性がありますからご注意ください。
まとめ
休眠会社の概略についてご理解いただけましたでしょうか。
この記事が、休眠を検討しているが具体的なイメージが持てずお困りの方たちの助けになれば幸いです。
直接税理士に話を聞いたみたいと言う方はお気軽にお問い合わせいただければと思います。