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NPO法人の解散・清算の手続きや流れについて税理士が詳しく解説!

この記事ではNPO法人における解散・清算の手続きについてご紹介させていただきます。

NPO法人の解散とは

NPO法人を設立後、もう活動をしないなどの理由で解散を検討する方も多いと思います。
解散とはNPO法人の事業活動を停止する手続きになります。

NPO法人が解散するのは、以下7つの場合になります。このうち、社員総会で解散の決議をすることが大半を占めます。

  1. 社員総会の決議
  2. 定款で定めた解散事由の発生
  3. 目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能
  4. 社員が欠けたこと
  5. 合併
  6. 破産手続開始の決定
  7. 設立の認証の取消し

NPO法人は「社員総会の決議」により解散できますので、任意に解散したい場合には『社員総会で解散決議』を行えばよいことになります。
株式会社が株主総会の決議で解散できるのと同様です。

なお、事業の成功の不能を理由に解散する場合には、その旨を証明する書面を所轄庁(道府県知事又は指定都市市長)に提出し、『認定』を受けなければなりません。

社員総会の決議等で解散する場合には、所轄庁へは『届出』をすれば問題ありません。

NPO法人の清算とは

前述の「解散」によって、事業活動を停止した後に、NPO法人に残った財産を整理する手続きになります。「清算」手続きが完了すると、NPO法人は法律上消滅します。

NPO法人の解散・清算手続きの流れ

『社員総会の決議』によりNPO法人を解散する場合の、手続きの流れを解説します。

  • 社員総会の決議
  • 解散及び清算人の登記
  • 所轄庁への解散の届出
  • 解散の広告
  • 清算業務
  • 清算決了
  • 清算決了登記の申請
  • 所轄庁への清算決了届出

社員総会の決議

社員総会を開催し、解散決議を行います。定款で別途定めていない限り、総社員の4分の3以上の賛成があれば解散決議ができます。
4分の3という数字は定款の定めにより増減することができます。

解散後の手続きは、清算人が行います。清算人には理事が就任するのが通常ですが、理事以外の人が清算人になる場合には、社員総会での選任決議が必要です。

また、清算中に清算人に報酬を支払う場合には、解散の社員総会で決議をします。

なお、NPO法人の残余財産は、法人の社員(構成員)に分配することができませんので、定款で「残余財産の帰属先は社員総会で選定する」旨が定められている場合には、解散時に残余財産の帰属先も決めます。

NPO法人の残余財産の帰属先については、次のようなルールになります。

定款で帰属先を定めている場合

定款で定めた帰属先に帰属します。帰属先として選べるのは次のようなところです。

  • 他のNPO法人
  • 国又は地方公共団体
  • 公益社団法人または公益財団法人
  • 学校法人
  • 社会福祉法人
  • 更生保護法人

定款で帰属先を総会で選定する旨を定めている場合は、解散総会で帰属先を決めます 

定款で帰属先に関する定めがない場合は、所轄庁の認証を得て、国または地方公共団体に残余財産を譲渡することができます。

帰属先が決まらない場合は、国庫に帰属します。

解散及び清算人の登記

社員総会の決議から2週間以内に、法務局で解散及び清算人就任登記を申請します。
登記申請には、社員総会議事録のほか、定款などの書類が必要になることがあります。

NPO法人において、清算人が事務を執行し、当該法人を代表します。
NPO法人が解散した場合は、理事が清算人となります。

ただし、定款で別段の定めがあるときや、社員総会において清算人を選任している場合は、その者が清算人となります。

所轄庁への解散の届出

NPO法人を解散したら、所轄庁に届出をしなければなりません。
清算人は、解散及び清算人就任の登記がされた後の『登記事項証明書』を、解散届出書に添付して提出します。

解散の公告

NPO法人が解散した場合にも、債権者保護のための公告が必要です。
この公告は官報により行います。

解散公告では、2か月以上の期間を定めて、債権者に債権を申し出るよう催告します。

また、すでに法人で把握している債権者がいる場合は、この官報による解散の公告とは別に、個別に債権者に対して催告をする必要があります。

清算業務

清算人は、法人の清算のために必要な業務を行います。
未完了の事務を終わらせ、債権の取り立てや債務の弁済を行って財産を整理します。
残余財産が確定したら、帰属先に引き渡します。

清算結了

解散公告で定めた公告期間が経過し、清算手続きが完了した時点で清算結了となります。
この時点で、法人は消滅することになります。

清算結了登記の申請

清算結了の日から2週間以内に、法務局で清算結了登記を申請します。
登記申請書には清算事務報告書を添付します。

所轄庁への清算結了届出

清算結了登記が完了したら、登記事項証明書を取得し、これを添付して所轄庁に清算結了届出を行います。

税務署及び都道府県税事務所、市町村役場への提出書類

次に、解散及び清算をした場合に、税務署、都道府県税事務所、市町村役場に提出すべき書類を確認します。

また、収益事業を行っているかどうかにより、提出すべき書類が異なります。

解散をした場合

収益事業を行っていて解散をした場合には、解散をした日で収益事業を廃止することになりますので、収益事業廃止届出書を提出するとともに、解散の日までで法人税等の申告をする必要があります。

法人税法上は、みなし事業年度規定があり、事業年度開始の日から解散の日までを一事業年度とみなすことになるためです。

また、解散後は、収益事業を行っていないため、法人税の申告は不要になります。

収益事業を行っていない場合には、税務署への届出は不要ですが、都道府県税事務所及び市町村役場へは異動届出書を提出する必要があります。

清算をした場合

清算をした場合には、税務署、都道府県税事務所、市町村役場へ異動届出書を提出します。

所轄庁への事業報告書、会計報告書の提出

解散をした場合

解散をした場合には、解散届出書の提出は必要ですが、NPO法には法人税法のような「みなし事業年度規定」はありませんので、基本的には解散の日までの事業報告書や会計報告書の提出は不要になります。

清算期間中の提出

清算期間中であっても、事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告書と会計報告書を提出する必要があります。

まとめ

NPO法人の解散・清算手続きについてお困りの方は、是非お問い合わせくださいませ。

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