この記事ではNPO法人の決算にまつわる提出書類や提出期限等についてご紹介させていただきます。
Contents
NPO法人の決算
NPO法人は、特定非営利活動促進法により事業年度終了の日から3か月以内に以下7つの書類を所轄庁に提出をする必要があります。
【会計書類】
- 活動計算書
- 貸借対照表
- 財産目録
【その他の書類】
- 事業報告書
- 前事業年度の年間役員名簿
- 前事業年度末日における社員のうち10人以上の者の名簿
提出する会計書類
ここでは、提出すべき「会計書類」について解説をしていきます。
活動計算書
NPO法人会計基準を利用するのが一般的ですが、法人の事情で、企業会計等を利用しても差し支えありません。
計算書類の注記に、利用している会計基準を明記します。
まず、費用の部を「事業費」と「管理費」に分けます。
「事業費」はNPO法人のミッション達成のために直接要した費用、「管理費」はその法人の管理全般に係る費用です。
一方、収益は「受取会費」、「受取寄付金」、「受取助成金等」、「事業収益」、「その他収益」の5つに分かれます。
そして、収益から費用を引いた金額が「当期正味財産増減額」になります。
貸借対照表
貸借対照表は、「資産の部」、「負債の部」、「正味財産の部」から構成され、「資産の部」は、「流動資産」と「固定資産」に、負債の部は「流動負債」と「固定負債」に分かれます。
ここは企業会計の貸借対照表とほぼ同じものと考えていただければと思います。
財産目録
財産目録は、NPO法、NPO法人会計基準ともに、財務諸表(活動損益計算書、貸借対照表)とは別の会計書類と位置づけられております。
NPO法人会計基準においては、具体的な作成方法の規定はございませんが、貸借対照表の内訳明細の様式をとっています。
その他の書類
ここでは提出すべき「その他の書類」について解説をしていきます。
事業報告書
事業報告書はNPO法人が、その事業年度にどのような活動を行い、そのような成果があったのかを記載する書類になります。
各所轄庁から様式は出ていますが、様式どおりに提出をしなければならないわけではありません。
多くの場合、理事会や総会の為に作成をしていることでしょう。
そのため、わざわざ所轄庁の様式に変更せずとも、総会に提出した事業報告書を所轄庁に提出しても問題はございません。
前事業年度の年間役員名簿
役員名簿には、前事業年度中に1日でも役員であった者は、途中で退任した者も含めて、全部を記載します。
前事業年度末日における社員のうち10人以上の者の名簿
「社員のうち10人以上の者」とは、「社員の中から最低でも10人分の氏名及び住所を記載する」という意味です。
例えば、社員が20人いる場合は、その中から10人を選んで記載をしてもよいし、20人全員を記載してもかまいません。
また、「前事業年度の役員名簿」とは異なり、事業年度末日現在で在籍する社員について記載します。
したがって、年度の途中で退会した社員については、記載しません。
事業報告書等の提出期限
全てのNPO法人が、事業報告書・計算書類・財産目録等の特定非営利活動促進法で定められた書類を作成し、毎事業年度終了後3か月以内に所轄庁に提出しなければなりません。
例えば、3月決算法人(4月1日から3月31日を1事業年度としている法人)は、6月30日が書類の提出期限です。
事業報告書等の提出がないNPO法人への対応について
所轄庁では、期限内に事業報告書等の提出がないNPO法人に対して督促を行い、それでも提出がない場合は、裁判所に過料事件通知を行います。
提出期限を過ぎても事業報告書等の提出がないときは、20万円以下の過料が処されることになりますので注意してください。
また、3年以上にわたり、事業報告書等の提出がなければ、特定非営利活動法人の設立の認証の取消対象になります。
まとめ
NPO法人の場合、通常の事業会社が提出する書類とは別に追加で提出すべき書類が複数ありますので、提出期限も含め注意が必要になります。
迷われている方、是非お問い合わせくださいませ。