この記事ではそもそもNPO法人とはどのような法人なのかについてご紹介させていただきます。
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NPOって何の略?
NPOとは、「Nonprofit Organization」又は「Not-for-Profit Organization」の略称で「非営利団体」、「非営利組織」という意味になります。
日本では、「NPO」や「特定非営利活動法人」と呼ばれています。
NPO(非営利)とは
「非営利」とはお金儲けをしてはいけないという意味ではありません。
利益の分配をしないという意味です。
NPO法でも、余ったお金を社員(会員)で分けてはいけないと規定されています。
つまりこのルールを守っていれば、事業収入を得ても、職員が給料をもらうこともできます。
もちろん、利益の追求を目的としたら問題ですが、本来の目的であるNPO活動の結果、利益が出ることは問題ありません。
また、活動が順調に行き、お金が増えた場合は会員や理事に配ることはできませんので、次期に繰り越すか、またはそのお金を使ってさらに社会貢献活動をします。
NPO法人とは
NPO法(特定非営利活動促進法)に基づき法人格を取得した法人のことをNPO法人(特定非営利活動法人)といいます。
人の集まりであるNPO法人は社団法人の一種、不特定多数の者の利益を目的として社会貢献活動を行う民間の非営利法人のことを指します。
特定非営利活動とは
特定非営利活動とは、不特定多数の人の利益を実現する目的で行われる、NPO法で定められた20分野の社会貢献活動のことを指します。
簡易的な表現をしますと、広く社会一般の利益のための活動ということです。
例えば、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」、「社会教育の推進を図る活動」、「まちづくりの推進を図る活動」などです。
20分野の社会貢献活動については、以下のリンクをご確認ください。
参考:特定非営利活動(NPO法人)制度の概要 特定非営利活動とは|内閣府
NPO法とは
1995年の阪神・淡路大震災をキッカケに市民団体が簡単に法人格を取得できる新しい(個人ではできない組織的な公益活動が行える)制度の必要性が高まりました。
そして、1998年に議員立法によってNPO法(特定非営利活動促進法)が制定され、NPO法人が誕生することとなりました。
法人の自立性を尊重して、多様な市民参加と自治によるガバナンス(組織統治)機能を高めることで、民間の活動を推し進めることを目標としています。
NPO法の目的とは
NPO法の目的は第一条に次のように掲げられています。
第一条の法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする。
ここでは、下記2つをいっています。
- 「公益の増進に寄与すること」
- 「市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進すること」
「公益の増進に寄与すること」の内容は他の法人の法律にも同じような表現がありますが、特徴的なのは、「市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進すること」の部分です。
単に公益的な活動をするだけではなく、ボランティアをしたい、寄付をしたい、社会貢献をしたい、そういう人たちを結びつけ、その力を社会につなげ問題解決を図る、それがNPO法人の果たすべき役割になります。
NPO法の公益性とは
NPO法ができるまでは公益法人の公益性は行政が判断をしていました。
それからNPO法では、市民活動の公益性は、後から市民がつくっていくものであり、行政が判断するものではないと考えられています。
NPO法人は市民から信頼を得て、新しい公益的サービスを提供することが期待されています。
また、NPO法第29条と第30条に「NPO法人は毎事業年度1回、事業報告書、会計報告書等を所轄庁に提出をし、所轄庁はそれを公開しなければならない」とされています。
NPO法が目指していることは、法律に違反していないことを所轄庁がチェックすることと、それを一般の人が見られるように情報公開の手伝いをすることです。
こうすることにより、公益性を担保しているのです。
NPO法人の利害関係者とは
会員、寄付者、ボランティア、助成金提供者、役職員、従業員、取引相手、サービスの受益者等多様な支援者や関係者になります。
NPO法人数はどのくらい?
NPO法人は、4万9792法人(2024年6月30日現在)となっております。
1998年にNPO法ができてから、急激に法人数は増えましたが、2014年に5万法人を突破してからは、同じくらいの数で推移をしています。
また、NPO法人のうち、税制上優遇がある認定NPO法人は、1,286件(2024年6月30日現在)となっております。
2011年までは244法人でしたが、2011年のNPO法改正を機に急速に増加しております。
参考:内閣府NPOホームページ
NPO法人のメリットは?
NPO法人として活動することで、さまざまなメリットを享受できます。法人格を取得することで社会的信頼を高め、資金調達や組織運営にも大きなプラス効果をもたらします。
社会的信頼を得られる
任意のNPO団体では個人が主体ですが、法人格を持つことによりNPO団体としての権利や義務の在り方が明確になります。NPO法人は国からの認証を受けなければ設立できないことから、結果として社会的信用度は高いものとなり、各種の活動を行ううえで相手方に大きな安心感を与えることを可能にしているのです。活動内容にも信用を得られやすく、公益事業にも参加しやすくなります。
人材の雇用が可能
職員を雇用することで、ボランティアに頼らず組織性を高められますし、組織として安定性が高まるため、優秀な人材も集まりやすくなります。一方で、雇用者としての責務が発生するため、株式会社等と同様に労災保険や雇用保険の加入が必要になります。
補助金や助成金など資金調達手段が豊富
会費や寄付金以外にもNPO法人は行政機関や民間団体から補助金や助成金を受けられます。また、NPO法人は社会的信用度が高く、金融機関からの融資を受けやすいですので、資金調達の手段が豊富です。
設立費用を軽減できる
株式会社を設立する場合は、定款の認証や登記など各種手続きに伴って約20万円前後の費用が発生します。
一方でNPO法人を設立する場合はいずれの費用も不要なので、少ない資産で設立できる点がメリットです。
団体として契約ができる
NPO法人を設立すると、事務所の賃貸契約や銀行口座の開設、借入なども団体名で行えます。万一のときも、原則として個人で責任を負う必要がありません。また、代表者を変更しても活動や法人名義の資産はそのまま引き継がれます
個人と法人で財産を明確に分けて管理できるため、事業関係の収支管理が簡単になりますます。
NPO法人のデメリットは?
NPO法人は社会的信頼を得やすい一方で、設立や運営において注意すべき点もあります。法人格を持つことによる義務や制限も多く、事前にデメリットを理解したうえで検討することが重要です。
法人設立に時間がかかる
通常の会社であれば、会社設立までの期間として最低でも約1カ月ほどの時間で設立が可能となりますが、NPO法人の場合は規定や書類などの関係もあり、設立には最低でも約4カ月といった期間が必要になります。
活動する分野が限られる
NPO法人の活動は、定款に基づいて行われなければなりません。
NPO法人の設立時には、NPO法人の活動分野の20項目から自分たちの活動に合うものを選び定款に記載します。
運営が始まったあとも、定款に記載した分野で活動しなければならず、定款に定めた以外の活動分野にチャレンジしたい場合には、再度認証手続きが必要となる場合があります。
社員が10名以上必要
NPO法人には、10名以上の社員(会員)が必要です。ここでいう社員とは、従業員のことではなく、株式会社でいう発起人のような存在のことをいいます。
そのため、設立にあたってある程度のメンバーを確保する必要があります。また、活動の趣旨に賛同する人なら誰でも社員になれ、いつでも退会できるようにしなければなりません。
また、NPO法人の場合、最低限でも理事が3人、監事が1人必要です。
役員になれる親族(3親等内)の数に制限があり、具体的には、配偶者や3親等内の親族の数が役員総数の3分の1を越えてはいけないという規定になっております。
情報公開・報告義務が求められる
NPO法人の開示対象としては、主に事業報告書や保有する財産や運営資金などの収支、これらに伴うお金の貸借表やNPOに関わる全ての役員名簿や定款などがあり、関係者からの要求があった場合は過去3年分を全て開示しなければいけません。所轄庁に提出されたものに関しても閲覧に応じる義務が生じますので、直接ではなくとも情報開示は必要事項となります。
まとめ
NPO法人についてご理解いただけましたでしょうか。NPO法人の設立、決算、税務等にお困りの方は、是非お問い合わせくださいませ。