法人の設立を検討されている皆様、株式会社にしようか、合同会社にしようか、それとも何か他の形を考えていらっしゃいますでしょうか?
今回は選択肢の一つとなる、一般社団法人をご紹介させていただきます。
一般社団法人とは
一般社団法人とは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された社団法人の事です。
社団法人は「人」の集まり、財団法人は「財産」の集まりを指し、そこに法人格が与えられたものになります。
法人格のない任意団体、例えば同窓会やサークルのようなものと違い、法人格が与えられた一般社団法人は契約の主体になったり、通帳を作ったりすることができます。
一般社団法人と株式会社・合同会社の違い
違いはいくつもありますが、大きな違いとして一般社団法人は「非営利法人」であるという点です。
「非営利」というとよく勘違いされる方が多いですが、利益を追求してはいけないという意味ではありません。
株式会社などと同じように、ものを仕入れして販売することや、人を雇ってサービスを提供することができます。
では「非営利」の意味は何かというと、「配当をしてはいけない」ということになります。
一般社団法人というと、事業活動に制限が出てしまうと思いがちですが、基本的には自由に活動をすることができます
ただ後述する法人税法上の優遇を受けるためには、事業全体における収益事業の割合が大きくなりすぎないように注意しなければいけません。
法人税法上の優遇に関して
法人税法上の一定の要件を満たすと、法人税法上の優遇を受けることができます。
詳しい要件に関しては別記事に記載させていただきますが、定款の作成が大事になりますので、そのあたりに詳しい司法書士さんや行政書士さんにご依頼されることをお勧めいたします。
法人税法上の非営利型法人と認められると、収益事業から生じた所得のみに課税されることとなります。
一般的な法人はすべての所得について課税されますが、非営利型法人はその範囲が限定されます。
具体的には寄付金や会費を受けとったとしても、その部分については課税が起きませんから、これらの収入が見込めそうな場合には、一般社団法人は適した組織形態になります。
収益事業に関して
課税が起きる「収益事業」はなんでしょうか。実はこの部分が非常に難しく、実務上も十分に検討を行う必要がある点です。
収益事業として認定されるものは全部で34あり、「34業種」などと呼んでいきます。
これは物品販売業や製造業、請負業などほぼすべての業種が範囲に入ってきます。
法人で行う事業が収益事業にあたるかは慎重に検討する必要がありますので、専門家である税理士に相談されることをお勧めいたします。
収益事業には当たらないと思って申告・納税をしていて、後日調査の際に誤りを指摘されると、資金繰りの観点から事業継続が難しくなることも考えられます。
まとめ
一般社団法人の概要についてご理解いただけましたでしょうか。
なじみのない方も多いかと思いますが、株式会社や合同会社にはないメリットがあります。
ただし、その事業内容が一般社団法人に適したものでないと、そのメリットを享受することができません。
一般的な事業を行うのであれば、選択肢の第一はやはり株式会社や合同会社になるかと思いますが、会費収入や寄付金が大きく見込まれる場合には一般社団法人を検討する価値は十分にあります。
迷われている方、是非お問い合わせくださいませ。